錦織「次は必ず…」
8月25日~9月8日の日程で、アメリカ・ニューヨークで開催された全米オープン(グランドスラム/ハード)も幕を下ろした。
(動画)錦織 圭 vs マリン・チリッチ 男子シングルス決勝 全米オープンテニス2014
錦織圭(日清食品)には、さらなる歴史をつくるための「足」がもう残っていなかった。
アジア出身の選手として初となるグランドスラムの優勝を狙っていた錦織だったが、その快進撃も月曜日の決勝でマリン・チリッチ(クロアチア)に3-6 3-6 3-6での敗退でストップした。
錦織は24歳。トップ5シードの選手のうち、3人を倒しての決勝進出だった。錦織は第5シードのミロシュ・ラオニッチ(カナダ)、第3シードのスタン・バブリンカ(スイス)を二人合わせて8時間半の試合で破り、そして第1シードのノバク・ジョコビッチ(セルビア)を4セットの試合で破って、アジア人選手として初となるグランドスラムのベスト4進出を果たしていた。
「僕が誰にでも勝てるポテンシャルを持っているということは見せられたと思う」と彼は話している。
だが、チリッチ戦ではさすがに疲れの色が見えた。
「この2週間はテニスをやりすぎた感じがする」と錦織。「もう1試合は戦えなかった」。
そもそも、錦織はこの全米には出るかどうかわからないという状態でスタートしていた。第10シードの錦織だったが、右足親指の部分の手術の影響で、前哨戦もスキップしていた。
決勝では完敗してしまったが、彼はグランドスラムのベスト4に初めて進み、そしてその試合にも勝って決勝に進んだ。
「この2週間では、たくさんのポジティブな面があった」と錦織は話す。
その中のひとつは、日本のテニス人気を高められたということも含まれる。錦織の故郷の島根県松江市では、800人以上の人々が公会堂に集まって、彼らのヒーローの活躍をパブリック・ビューイングで見つめていた。
大きなバナーには、錦織への応援メッセージの寄せ書きが書かれていて、「錦織選手に幸運を、松江の星」という字が踊っていた。
決勝がスタートしたのは日本時間で火曜日の午前6時10分。ファンの中には試合を見るために仕事を休んだ人たちもいた。
59歳の会社員ヤマウチ・ミチヤさんは「私の人生の中でも松江で起きた最大の出来事ですよ」と言う。
第2セットの最後のゲームを錦織が落としたときのホールは静まり返っていた。また、錦織が第3セットでブレークされ、試合をリードされると人々は徐々に減って行き、それぞれの仕事に向かっていった。
「彼の決意の強さは本当に印象的です。その気持ちは忘れないし、日本でのテニス人気ももっと盛り上がると思います」と話しているのは大学生のマルヤマ・ノゾミさんだ。
月曜日のアーサー・アッシュ・スタジアムには、ヤンキースの田中将大の姿もあった。
錦織は過去3試合のように、ストロークでポイントをコントロールできず、第14シードのチリッチの強烈なサービスに押し込まれた。
「チリッチは前に入ってプレーしてきていたし、圭は少し受け身になっていた。だから試合に入っていけなかったんだ」と錦織のコーチのダンテ・ボッティーニは言う。
だが、錦織はまた今回のような快進撃を繰り返せると、すでに前向きになっていた。次のチャンスのときには、今大会のようにたくさんのフルセットマッチを戦わないようにしたいと彼は話している。
錦織は準優勝プレートを受け取りつつ、彼のファンに向けて話しかけていた。「ごめんなさい。今日はトロフィーはゲットできませんでした。でも、次には必ず取りたいと思います」。(C)AP (テニスデイリー/THE TENNIS DAILY)引用